特に、装飾編み（Fancy Plaiting）に惹かれた理由は、デザインの自由度が非常に高いことです。
この技法は、時間と労力が大きくかかり、正直「二度とやりたくない」と思うほど大変な工程になることもあります。
それでも、完成した瞬間に得られる達成感は格別で、自分のイメージをそのまま形に落とし込める魅力があります。

また、鞭作りにおいては見た目の美しさだけでなく、使いやすさを重視しています。
私自身が本当に手に取りたいと思う理想像――
一体感、素直で軽快な動き、シャープな振り心地、そしてクラッキングの鳴らしやすさ――
これらを実現するために、制作工程や設計にこだわっています。

内部構造についても、不要な要素をできる限り排除する設計を採用しています。
テープや接着剤を最小限に抑え、素材そのものの動きとバランスが生きる作り方を意識しています。
また、オーダー品以外では、伝統的な配色やパターンにとらわれず、好きなキャラクターや世界観から着想を得て、
自由かつ実験的なアプローチで制作することも多いです。

制作を始めてから痛感したのは、良い鞭を作ることの難しさと奥深さです。
その経験を通して、他の制作者の技術や個性に対する尊敬が深まりましたし、
同時に自分の作品にも、自分なりの哲学とスタイルを反映させたいと強く感じています。

そうして生まれた一本一本には、実験と試行錯誤、そしてこだわりが詰まっています。
ぜひ手に取って、軽さ・素直さ・キレ・デザイン性を体験していただければ嬉しいです。